「グラビア」か「デジタル」か?
小ロット・多品種時代に賢く選ぶパウチ印刷
堀口
11/19/20251 min read


多品種小ロット時代の悩み
これまでの定石だった「グラビア印刷」一択では、コストが合わないケースも増えてきました。そこで台頭しているのが「軟包装デジタル印刷」です。
今回は、パウチ(軟包装)における「グラビア印刷」と「デジタル印刷」のどちらを選ぶべきか、その分岐点とメリット・デメリットを整理しました。社内説得や仕入れ先選定の際にお役立てください。
①長年、日本の軟包装業界を支えてきたのがグラビア印刷です。凹版にインキを乗せてフィルムに転写する方式です。
【メリット】
単価が安い: ロットがまとまれば(通常4,000m〜)、圧倒的に単価が安くなります。
品質の安定性・再現性: 写真の再現性が高く、ベタ印刷も美しいです。特色(DICやPANTONE)を使ったブランドカラーの維持に最適です。
特殊インキへの対応: 金・銀などのメタリック表現、マットニス加工などが得意です。
【デメリット】
版代(イニシャルコスト)が高い: 1色につき1本の版(シリンダー)が必要です。5色印刷なら数万円×5本の初期費用がかかります。
最低発注数量が多い: 損益分岐の関係で、数千枚〜数万枚単位の発注が必要です。
リードタイム: 版の製作期間が必要なため、発注から納品まで時間がかかります(通常3週間〜1ヶ月程度)。
【こんなケースにおすすめ】
定番商品で、年間を通じてコンスタントに出荷がある。
ブランド商品、目指してる商品(ブランディング)
②デジタル印刷、版を作らず、デジタルデータから直接フィルムにインキを吹き付ける(あるいはトナーで印刷する)方式です。
【メリット】
版代がゼロ: これが最大の特徴です。初期費用を劇的に抑えられます。
極小ロット対応:100枚・500枚・1000枚~
可変印刷(バリアブル): 1枚ごとに異なるQRコードや、ナンバリング、デザイン違い(4種のデザインを各500枚など)を一度に印刷できます。
納期が早い
【デメリット】
単価が高い: 枚数が増えても単価があまり下がりません。
色の再現範囲: 基本はCMYKの掛け合わせで色を作るため、特色(金・銀や蛍光色など)の再現には限界があります。
大量生産には不向き: 数万枚のオーダーになると、グラビア印刷に比べて総額が割高になります。
水物にも不向き
【こんなケースにおすすめ】
新商品のテストマーケティング(売れるかわからない段階)。
展示会やサンプリング用の少量のパウチ。
「ご当地限定」「季節限定」など、多数のフレーバー展開をする場合。
キャンペーン用のQRコードを1枚ずつ変えたい場合。
※仕様やサイズによりますが、一般的な目安は以下の通りです。
1,000~3,000個: デジタル印刷の圧勝
(版代がかからないメリットが単価高を上回る 総額15万~20万)3,000~10,000個: グレーゾーン
(リピートの有無、版の保管料、デザイン数によって判断が分かれます 半ロット2000m)10,000枚以上: グラビア印刷が有利
(ランニングコストの安さが版代を回収します)
単発(ワンショット)の企画であれば、少し数が多くても版代のかからないデジタル印刷の方が総額コストが安くなる場合があります。逆に、2回、3回とリピートが確実なら、初期投資をしてでもグラビア印刷の方がトータルコストは下がります。
賢い「使い分け」戦略(ハイブリッド活用)
最近のトレンドは、商品のライフサイクルに合わせて印刷方式を切り替える方法です。
導入期(デジタル):
まずはデジタル印刷で3,000枚製造し、市場の反応を見る。パッケージデザインの修正もこの段階なら容易です。成長期(グラビアへ切り替え):
売上が安定し、月数万枚のオーダーが見込めるようになった段階で、版を作ってグラビア印刷へ移行し、利益率を高める。
この切り替えを前提に、最初からグラビアでも再現可能なデザイン(CMYKで表現できる範囲など)にしておくのも見せ所です。(但し仕様条件に注意 デジタル印刷)
まとめ
コスト重視の大量生産・リピート品= *グラビア印刷
スピード・在庫リスク回避・多品種展開= **デジタル印刷
「今の案件はどちらが最適か?」もし判断に迷われた際は、見積もりを両方のパターンで取り、総額(版代込み)と在庫リスクを天秤にかけてみてください。
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