包材値上げ 対策・動向

包材値上げ 対策と今後の動向

値上げで悩んでいるイメージ
値上げで悩んでいるイメージ
2025年以降の未来を見据えたコスト削減戦略

「また資材メーカーから値上げの連絡が…」
「コスト削減を求められても、もう削れるところがない…」

食品・包材の購買を担当されている皆さん、こんにちは。日々の価格交渉や納期調整、本当にお疲れ様です。原材料やエネルギー価格の高騰に加え、物流費の上昇や円安が追い打ちをかけ、包装資材の価格は上がり続けています。

残念ながら、この厳しい状況は2025年以降も続くと予測されています。しかし、未来が予測できるからこそ、今から打てる手があります。

今回は、今後の動向を先読みし、戦略的にコスト高騰を乗り切るための具体的なアクションプランを、3つの視点で分かりやすくご紹介します。

なぜ値上げは続くのか?未来を予測する4つのキーワード

まず、なぜこの状況が続くのか、今後の見通しを4つのキーワードで整理しましょう。

  1. 原材料・エネルギー価格の高止まり
    原油や天然ガスなどのエネルギー価格は、世界情勢に大きく左右され、不安定な状況が続きます。これはプラスチック原料(ナフサ)や工場の電気代に直結するため、当面は高止まりすると考えられています。

  2. 物流「2024年問題」の本格化
    トラックドライバーの時間外労働規制による影響は、2025年以降さらに深刻化する可能性があります。輸送キャパシティの減少は、運送費のさらなる上昇や、リードタイムの長期化に繋がります。

  3. 「脱炭素」という世界的潮流
    環境規制は世界的に強化される一方です。再生可能エネルギーの導入や、環境配慮型の素材(リサイクル材、バイオマスプラスチックなど)への切り替えにはコストがかかるため、長期的には製品価格に反映されていきます。

  4. 円安の常態化と地政学リスク
    日本の金融政策や海外との金利差から、急激な円高は考えにくい状況です。原材料の多くを輸入に頼る以上、円安は仕入れコストを押し上げ続けます。また、国際紛争などの地政学リスクは、サプライチェーンの寸断を引き起こす可能性を常に秘めています。

これらの未来予測からわかるのは、「以前の価格には戻らない」という現実です。だからこそ、私たちは発想を転換し、未来を見据えた対策を打つ必要があります。

【未来を見据えた対策】コスト削減への3つの戦略的視点

では、具体的に何をすべきか?「資材そのもの」「社内プロセス」「サプライヤーとの関係」という3つの視点から、一歩進んだアクションプランを見ていきましょう。

1【資材戦略】「当たり前」を捨て、未来の基準にシフトする

長年使ってきたその包材、本当に今のままで最適ですか?未来の市場を見据えた見直しが必要です。

  • 過剰品質からの脱却と軽量化(ダウンサイジング)
    これは最も即効性のある対策です。商品の保護に問題ない範囲で、フィルムを薄くする、容器を軽くするなど、ミリグラム単位での軽量化を追求しましょう。資材使用量の削減は、コスト削減と輸送効率アップ(物流費削減)に直結します。

  • 環境配慮型素材への戦略的シフト
    「エコ素材は高い」と思っていませんか?今後の環境規制の強化を考えれば、環境配慮型素材への切り替えは「コスト」ではなく「未来への投資」です。価格が比較的安定している再生材の活用や、企業イメージの向上にも繋がるバイオマスプラスチックの導入を、長期的な視点で検討しましょう。

  • 設計・開発部門との連携強化
    購買部門だけでコスト削減を頑張るのには限界があります。新商品の企画段階から開発チームと連携し、「包材コスト」や「輸送効率」を意識した商品設計(例:容器の形状を工夫して段ボールへの充填率を上げる)を働きかけましょう。

2【社内プロセス改革】属人化から脱却し、データで戦う

発注や在庫管理のやり方、保守的ではありませんか?

  • DXによる在庫管理と需要予測の精度向上
    「勘と経験」に頼った発注は、過剰在庫や欠品のリスクを高めます。販売データと連携した需要予測ツールなどを活用し、データに基づいた最適な発注ロットとタイミングを導き出すことで、キャッシュフローの改善と保管コストの削減が可能です。

  • 包材の「標準化・共通化」を全社で推進
    特定の商品にしか使えない専用包材は、コスト高の温床です。複数の商品で使える共通のトレーや段ボールを増やすことで、発注ロットがまとまり、価格交渉力が格段にアップします。関連部署を巻き込み、全社的なプロジェクトとして進めましょう。

3【仕入れ先との関係再構築】「発注先」から「戦略的パートナー」へ

値上げ要請をただ待つ関係から、未来を共に創る関係へと進化させましょう。

  • 市況の情報交換と共同での先手対策
    サプライヤーを単なる「業者」ではなく、市場の動向を教えてくれる「情報源」と捉えましょう。定期的に情報交換の場を設け、「来期は〇〇の原料が上がりそうなので、今のうちに代替素材を検討しませんか?」といった共同での先手対策を打つ関係を目指します。

  • コスト削減に繋がるVA/VE提案の積極的な依頼
    「もっと安く」ではなく、「同じ品質でもっとコストを抑える方法はありませんか?」と、サプライヤーの専門知識を引き出すVA/VE(価値分析/価値工学)提案を依頼しましょう。彼らは素材や加工技術のプロです。思いもよらないコスト削減のヒントが得られるはずです。

  • サプライチェーンの複線化(マルチサプライヤー化)
    特別安定供給と価格競争力を維持するためにも、常に複数の仕入れルートを確保しておくことが、今後の購買担当者にとって必須の戦略となります。

まとめ:変化の時代こそ、購買担当者の価値が輝く

包装資材の価格高騰は、もはや一時的な現象ではありません。しかし、見方を変えれば、これは旧来のやり方を見直し、より強く、より戦略的な購買体制を築く絶好の機会です。

今回ご紹介した3つの視点が、皆さんの日々の業務のヒントになれば幸いです。